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こんにちは。神谷町から徒歩4分、御成門から徒歩3分の歯医者「愛宕グリーンデンタルサロン」です。
私は昭和大学歯学部卒業後、大学院で補綴学(歯を補う治療)を専攻し、助教として診療・教育・研究に携わってまいりました。現在は、日本補綴歯科学会専門医、日本口腔インプラント学会専修医として、咬合(噛み合わせ)バランスを重視した総合的な歯科医療を実践しています。
今回は、矯正相談でよくいただく質問のひとつ「抜歯って本当に必要なんですか?」について、専門的な視点から解説します。歯を抜くことに不安を感じるのは当然のことですが、抜歯の有無は“歯並びのタイプ”や“あごの大きさ”、“噛み合わせの状態”によって大きく左右されるのです。この記事を読んでいただければ、自分のケースがどちらに近いのか、理解が深まると思います。
目次
矯正治療で歯を抜く主な目的はスペースを確保することです。歯並びが乱れる多くの原因は、「あごの幅に対して歯のサイズが大きい」というアンバランスにあります。
この状態で無理に歯を並べようとすると、歯が外側に飛び出たり、歯ぐきが下がったり、将来的に後戻りしやすくなる可能性もあります。そのため、必要に応じて歯を数本抜くことで、歯列を整えるスペースを作り、長期的な安定性を確保するという考え方があるのです。
以下のようなケースでは、抜歯を伴う矯正が適応になる可能性が高いといえます。
2-1. ガタガタの歯並び(叢生)
歯が重なり合って並びきらず、ねじれて生えている状態。特に犬歯(糸切り歯)が前に飛び出しているような場合は、抜歯なしでは整えられないことが多いです。
2-2. 出っ歯(上顎前突)
上の歯の前歯が突出しているタイプ。抜歯により前歯を内側に引き込むスペースを作ることがあります。
2-3. 前歯のかみ合わせが浅い(開咬)
奥歯は当たっていても口呼吸になりがちや、前歯が上下でかみ合わないケース。特に、上下の前歯が突出している場合、抜歯して引っ込めることで改善を図ります。
一方で、すべての人が抜歯を必要とするわけではありません。以下のようなケースでは、非抜歯での矯正も十分に可能です。
3-1. 歯とあごのサイズバランスが良好
歯並びが少しガタついていても、歯列拡大(アーチの幅を広げる)やIPR(歯の側面をわずかに削る処置)でスペースを確保できる場合、抜歯せずに整えることができます。
3-2. 成長期のお子さま
成長途中の小学生〜中学生であれば、あごの成長を促す装置(拡大床など)や舌やお口の周りの筋肉を整える機能矯正装置(プレオルソ)を併用することで、抜歯を回避できることがあります。
3-3. 歯を大きく動かす必要がない軽度症例
前歯の軽いねじれや、すきっ歯のようにスペースがもともとあるケースでは、非抜歯で治療できる可能性が高いです。
【メリット】
【デメリット】
愛宕グリーンデンタルサロンでは、以下のようなプロセスで診断を行っています。
5-1. 精密な検査
5-2. 診断とシミュレーション
補綴専門医としての視点から、私は単に歯を並べるのではなく、「噛む・話す・長く使える」歯並びをつくることを大切にしています。
Q1. 抜歯矯正をすると顔が小さくなりますか?
A. あごが物理的に小さくなるわけではありません。ただし、前歯の突出感が改善されることで、フェイスラインがすっきり見えることがあります。
Q2. 抜歯したあとはどうなるの?隙間は残りますか?
A. 抜いたスペースは、歯を移動させて完全に閉じていきます。
時間はかかりますが、適切なコントロールで目立つ隙間が残ることはありません。
Q3. 抜歯をできるだけ避けたいのですが…
A. そのお気持ちはよくわかります。当院では、できる限り非抜歯プランを検討したうえで、将来的な安定性とのバランスを見てご提案しています。
矯正治療における抜歯・非抜歯の選択は、「絶対にどちらが良い」というものではありません。
患者さま一人ひとりの歯並びの状態・骨格・希望するゴールによって最適な選択肢は変わります。
私たちが目指すのは、「10年後も快適に使える歯並び」です。見た目の美しさだけでなく、機能性と長期的な安定を大切にした矯正治療を一緒に考えていきましょう。矯正相談は随時受け付けておりますので、気軽にお問い合わせください。